愛犬が何度も何度も人間の手や足、時には口を舐めるという問題に直面している飼い主さんも多いのではないでしょうか。
犬がこれらの部位を舐める行為には、実は様々な理由や意味が隠されています。
この記事では、なぜ犬が手や口、足を舐めるのか、それぞれの各部位を舐める理由について詳しく解説します。
また、犬のこの行為が引き起こす危険性や、舐める行為をやめさせたい時の対処法についてもご紹介していきます。
愛犬の行動を理解し、適切な対応をとることで、より快適な共生を目指しましょう。
犬が手・口・足を舐めるしつこい行動の理由
- 犬が人間を舐める部位による意味合いの違いがある
- 手を舐める理由
- 口を舐める理由
- 足を舐める理由
犬が人間を舐める部位による意味合いの違いがある
犬が人間を舐める際の部位による意味合いには、飼い主とのコミュニケーションにおける重要な違いがあります。
これらの行動を理解することで、飼い主は愛犬のニーズや感情をより深く理解し、相互の信頼関係を築く手助けとなります。
また、犬がこれらの行動を過度に行う場合は、何らかのストレスや不安を抱えているサインである可能性もあるため、獣医師や行動学専門家のアドバイスを受けることも重要です。
それでは、各部位の違いについて次でみていきましょう。
手を舐める4つの理由
犬が人の手を舐める行動には、以下のように複数の理由があることが知られています。
これらの理由を具体的に見ていきましょう。
①撫でてほしい
犬が人の手を舐める最も一般的な理由は、単純に撫でてほしいという愛情表現です。
多くの犬は物理的な愛情表現、特に撫でられることを非常に好みます。
愛犬が手を舐める行動を見せた場合、これは彼らがあなたとの親密さを求めている強い兆候です。
犬は撫でられることで安心感を得ることができ、これは彼らの幸福感を高める重要な要素の一つとなります。
②人の手から食べ物や他の動物のにおい
犬は非常に発達した嗅覚を持ち、それは人間のそれと比べて約3,000~1,000倍も敏感です。
このため、手に付着した食べ物の匂いや他の動物のにおいに反応して、好奇心から舐めることがあります。
例えば、料理中に扱った食材の匂いや、散歩中に他の犬との交流で付着した匂いなど、これらのにおいは犬にとって非常に魅力的であり、彼らはこれらの匂いを通じて様々な情報を得ることができます。
③遊んでほしいサイン
活動的な犬、特に若い犬は、手を舐める行動を通じて遊びを求めることが多いです。
これは、犬が物理的な活動や遊びを通じてエネルギーを発散する必要があることを示しています。
実際、十分な運動や遊びの時間が与えられていない犬は、遊びを求めてより積極的に手を舐める傾向があります。
これは、愛犬が適切な運動や刺激を必要としているサインと解釈することができます。
④ストレスや不安を感じているときに落ち着こうとするサイン
犬がストレスや不安を感じると、人の手を舐めることで自己を落ち着かせようとすることがあります。
これは自己舐め行為と同様で、犬にとっては自己安慰行為の一種です。
この行動は、犬がリラックスするための手段として行われることが多く、特に不安やストレスを感じている時に頻繁に見られます。
このような行動が続く場合、愛犬が何らかのストレスを感じている可能性が高く、その原因を探り、解消するための適切な対策が必要になります。
例えば、環境の変化や日々のルーティンの変更、さらには専門家の助けを借りることも考慮すべきです。
口を舐める4つの理由
犬が人間の口を舐める行動は、犬の心理状態や感情の表現に密接に関連しています。
以下では、この行動の背後にある4つの主要な理由について詳細に解説します。
①信頼や愛情や服従のサイン
犬が人間の口を舐める行為は、深い信頼感や愛情、さらには服従の表現として理解されることが多いです。
犬は家族の一員として飼い主に強い絆を感じると、愛情や信頼の感情を表すためにこのような行動を取る傾向にあります。
これは、犬と人間の関係の強さを示す重要な指標の一つと言えます。
服従のサインとしては、犬が自分より優位に立つ飼い主に対して敬意を表している可能性があります。
②母犬への甘えのサイン
幼い犬、特に子犬が母犬への甘えとして口を舐める行動は、その本能的な行動の一部です。
これは、犬が人間の口を舐める際にも見られる行動パターンであり、人間を母犬のような存在として認識し、安心感や愛情を求めていることを示しています。
③ご飯やおやつをおねだりしているサイン
犬が飼い主の口を舐めることは、食事やおやつを求めているサインである可能性が高いです。
この行動は、狼が群れの中で食べ物を求める際の行動パターンに根ざしています。
犬は、飼い主の口元に食べ物の匂いがある場合、食事を提供してもらうためにこのような行動を取ることがあります。
④喜びのサイン
犬が飼い主の口を舐める行動は、喜びや興奮の表現としても見られます。
この行動は、特に犬が楽しい瞬間や飼い主との再会時によく見られ、犬が感じる喜びや愛情を表す方法の一つです。
犬が口を舐めるとき、それは単なる身体的な接触以上の意味を持ち、愛犬があなたに対して感じている喜びや愛情を物語っています。
足を舐める3つの理由
犬が人間の足を舐める行動には、特定の理由があります。
これらの理由を理解することは、犬の行動と心理状態をより深く知る手がかりとなります。
以下では、犬が足を舐める主な3つの理由について詳しく解説します。
①臭いが気になる
人間の足は汗腺が多く、特有の臭いを放つことがあります。
これが犬にとって非常に興味深い対象となるため、足を舐める行動を取ることがあります。
犬にとって、足の臭いは人間の健康状態や感情を理解する重要な情報源となり得ます。
②人から抵抗されることが少ないという理解
犬は人間の足を舐めても抵抗されにくいと理解している可能性もあります。
足は手や顔と比べて、人間が犬の舐める行動に対して抵抗する頻度が低い部位です。
これにより、犬は足を舐めることに対して心理的な安心感を持ち、よりリラックスした状態で行動できます。
③毛繕いの一環
様々な動物が毛繕いをするのと同様に、飼い主の足を舐めることも、犬が飼い主との親密な関係を示し、飼い主に対する愛情やケアの一環として行うことがあります。
この行動は、犬が飼い主を自身の大切な家族の一員として認識し、毛繕いによって関係を強化しようとする自然な行動であると考えられます。
ただし、足を舐める行動が過剰になる場合は注意が必要です。
犬が自身の足を過度に舐め続ける場合、それは皮膚の病気、アレルギー反応、あるいは心理的ストレスのサインである可能性があります。
特に、一部の部位を異常に舐め続ける行動は、皮膚炎やホットスポットなどの皮膚の問題を示唆していることがあり、その場合は獣医師の診察が推奨されます。
このように犬のが人間を舐めるという行動は、いろいろな理由があり、犬の健康状態や心理状態を反映していることが多いため、飼い主はこの行動に注目し、必要に応じて適切な対応を取ることが大切です。
犬が手・口・足を舐めるしつこい行為があるときの適切な対処方法
- 舐めるという行為をやめさせたい時の方法
- 感染症のリスク
- 中毒物質を舐めてしまう可能性
- 舐められた後の対応
- 舐められてもやってはいけないNG行動
- 犬が人の手・口・足を舐めるしつこい行為についての総括
舐めるという行為をやめさせたい時の方法
犬が舐める行為自体をやめさせたい場合、効果的な方法は舐める行動に対して反応を示さないことです。
犬が舐める行動を見せた際に、すっとその場を離れるか、他の行動に注目を向けさせることで、犬にとって舐める行動が報われないことを理解させることが可能です。
行動心理学の専門家によると、犬は飼い主の反応を通じて自分の行動を学ぶため、一貫した態度が必要です。
舐める行動をやめた際には、その行動を止めたことを褒めることで、犬が望ましい行動を学習するのを助けます。
ただし、このアプローチの成功率は、犬の年齢、性格、および以前の行動パターンに依存する可能性があり、効果が現れるまでには数週間から数ヶ月かかることがあります。
実際に、行動修正のプロセスは犬の種類や個体によって異なり、一部の犬では舐める行為を完全に止めるのが難しい場合もあります。
そのため、犬の個性や行動の背景を理解し、根気強く接することが成功の鍵です。
感染症のリスク
犬による舐め行動には感染症のリスクが伴います。
犬の口内には多種多様な細菌が存在し、その中には人間に感染する可能性のあるものも含まれています。
例えば、パスツレラ菌は犬の口内に普通に存在する細菌の一つであり、傷口や粘膜に接触することで感染するリスクがあります。
また、犬の唾液中にはサルモネラやE.コリなどの細菌も含まれていることがあり、これらが人間に伝播することで消化器系の疾患を引き起こす可能性があります。
特に免疫力が弱い人、小さな子ども、高齢者は、感染症のリスクが高いとされています。
舐められた部位に傷や擦り傷がある場合は、特に注意が必要であり、消毒剤を使用して適切に処置することが重要です。
また、犬が舐めた部分に異常が見られた場合は、迅速に医療機関を受診することが望ましいです。
舐める行動自体を完全に防ぐことは困難ですが、飼い主としては犬の口内衛生に注意を払い、定期的な健康診断や歯磨きを行うことで、細菌の数を減らし感染リスクを低減することが可能です。
歯磨きが苦手な愛犬をお持ちの方は、下記の記事で、比較的簡単に口腔ケアができるふりかけや歯磨き、サプリ等を紹介していますので参考にしてください。
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中毒物質を舐めてしまう可能性
犬が人間の手を舐める行動により、中毒物質を摂取するリスクが存在します。
例えば、ハンドクリームやローションに含まれる一部の化学成分は、犬にとって有害であることが知られています。
実際に、ハンドクリームに含まれるエチレングリコールやフェノール類は、犬にとって中毒症状を引き起こすことがあるされています。
犬がこれらの物質を過剰に舐めた場合、消化器系の問題や、重度の場合には肝臓や腎臓への影響も懸念されます。
さらに、日常生活でよく使われる化粧品や日焼け止め、虫除けスプレーにも、犬に有害な物質が含まれていることがあります。
これらの製品が手に残っている状態で犬が舐めると、その成分を摂取することになります。
中毒の症状には、嘔吐、下痢、過剰な唾液分泌、けいれんなどがあり、重篤な場合には命に関わる事態に至ることもあります。
したがって、犬と触れ合う前には、手に化学成分が残っていないかを確認し、必要であれば手を洗って清潔にすることが推奨されます。
また、ペット用に安全な製品を選ぶ、あるいは犬が舐めることを防ぐために手袋を使用するなどの対策も有効です。
万が一、犬が中毒症状を示した場合は、すぐに獣医師の診察を受けることが重要です。
犬の安全と健康を考える際には、日常生活で使用する化学製品に対する意識を高めることが不可欠です。
舐められた後の対応
手・口・足を舐められた時
犬が顔や口を舐めた場合、速やかに清潔な水と石鹸で洗うことが重要です。これにより、犬の口腔内の細菌や他の微生物が人間の皮膚や粘膜に残るリスクを減らすことができます。
総合的な衛生管理
犬による舐め行動後の適切な洗浄は、感染症やアレルギー反応などのリスクを避けるために重要です。衛生面の管理には十分な注意を払い、犬との健康的な共生を心がけましょう。
医師の診察の重要性
必要に応じて、医師の診察を受けることも重要です。犬に舐められたことによる健康上の問題が疑われる場合は、専門家に相談することをお勧めします。
これらの対応を適切に行うことで、犬との共生をより安全で快適なものにすることが可能です。
犬との健康的な関係を維持するためには、飼い主の責任としてこれらの基本的な衛生管理を心掛けることが重要です。
ペットとのキス、実は危険?ひとなめで細菌が数百万:日本経済新聞より引用
舐められてもやってはいけないNG行動
犬が人を舐める際に、飼い主が避けるべき行動はいくつか存在します。
重要なのは、犬に対して否定的または攻撃的な反応を避けることです。
このような反応は、犬に恐怖や不安を引き起こし、さらに問題行動を悪化させる可能性があります。
1. 犬を𠮟る行為
犬が舐める行動に対して𠮟るのは、一般的に避けるべきです。
犬は𠮟られることによって恐怖を感じ、これがトラウマになる可能性があります。
また、𠮟ることで犬が人への信頼を失い、他の問題行動を引き起こす原因となり得ます。
2. 身体的な罰を与える行為
犬を押しのけたり、たたいたりする行為も避けるべきです。
身体的な罰は、犬の行動を短期的には抑制するかもしれませんが、長期的には犬の精神的な健康を損なうことにつながります。
犬に対して肉体的な罰を用いることは、犬との信頼関係を破壊し、攻撃性を増す原因になります。
3. 大きな声で怒鳴る行為
犬に向かって強い声で怒鳴ることも、望ましくありません。
犬は人の声のトーンや強さに敏感であり、大きな声は犬を怖がらせることがあります。
また、このようなやり方は、犬が舐める行動の背景にある感情や欲求を理解する機会を失うことにもなります。
4. 無視する行為
犬が舐める行動を完全に無視するのも、適切な対処方法とは言えません。
無視することは、犬の行動を改善する機会を逃すことになります。
また、犬が舐める行動をする理由を理解し、適切に対応することが大切です。
犬が人を舐める行動には、その犬特有の理由や感情があることを理解し、適切なトレーニングや対応を行うことが重要です。
犬に対する愛情と理解を持ちながら、ポジティブなトレーニング方法を取り入れることで、犬の行動を効果的に改善することができます。
犬が人の手・口・足を舐めるしつこい行為についての総括
記事のポイントをまとめます。